食べ聞かせ



「ぎんなん」


この時期、御堂筋沿いの銀杏並木の下には、たくさんの銀杏の実が落ちています。
銀杏の実のあの香り・・・。
何とも独特ですよね。
 
私が子供の頃、母はどこからか銀杏の実を拾ってきては、
網の袋に入れて玄関先に吊るしていました。
実の中の種の部分を食べるものなので、周りの実の部分は腐らせて自然と落とすわけです。
それはいいのですが、困るのがその臭い!
学校から帰ってくる度に、「うぇ〜」となるのです。
恥ずかしくて友達も呼べません。
もし、「今井さんの家、なんか臭いねん!」なんて噂が友達の間に広まったら・・・。
想像するだけでゾッとします。
何度抗議しても母はどこふく風で、「あそこの公園の銀杏は大粒やわ!」などと
近所のおばさん達と盛り上がっていました。
私以外の家族の反応はというと、父は「なんか臭いなぁ」程度ですし、
姉は我関せずのドライな性格。
結局躍起になって反対していたのは私だけだった気がします。
 
そんなこんなで母と私のバトル(?)を尻目に、1ヶ月ほどで銀杏は食べ頃になりました。
ところが、当然のことながら都会の公園や街路樹の銀杏はとても小さく、味も大味。
あんなに臭い思いをしたというのに、イマイチって・・・!!
子ども心に納得のいかない怒りを覚えたのを覚えています。
以来、母は銀杏を取ってくることを諦めたようで、その後銀杏バトルはなくなりましたが、
今も銀杏の香りを嗅ぐ度にその当時のことを思い出します。
今となっては楽しい思い出・・・だと思うようにします(笑)
 
 
 
 


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