食べ聞かせ



お彼岸 「ぼた餅」

ぼた餅
お彼岸にはお墓参りをする。

そんな風習は漠然と知っていても、それが何故なのかまでは、

あまり考えたことのない人がほとんどなのではないでしょうか。
彼岸とは、サンスクリット語の「波羅蜜多」が語源で、
春分、秋分の日の前後三日を指します。
 
春分、秋分は、一年の内で昼と夜の長さが同じになる日。
それは、太陽が真東から昇り、真西に沈む日でもあります。
西に沈む夕日が極楽浄土への道しるべ(白道)となり、
この白道を真直ぐすすんでいくと極楽浄土に辿り着くと信じられていました。
また、仏教思想では、彼岸とは仏様が住む世界とされており、
彼岸への道しるべができるこの日にお墓参りをするという風習が生まれ、
その際に春なら牡丹の花を意味する『ぼた餅』。
秋には萩の花を表す『おはぎ』をお供えするようになったと言われています。

これは日本独自のものだそうです。

 

私は特に熱心に神様や仏さまを信仰しているわけではないのですが、

就職が決まった時、転職した時、結婚が決まった時など、

人生の転機となる際には必ず報告に行くことにしています。

子供の頃はお墓参りに行くのはちょっとした家族のイベントでした。
というのも、先祖が眠る霊園は大阪と兵庫の境の山奥にあり、
大阪市内の私の家からは車で片道二時間以上もかかったからです。
 
霊園に向かう途中の田舎道には所々に無人の百円野菜売り場があり、

母が大喜びで大量の野菜を買い込んでいくのが常でした。

当時まだまだ小さかった私と姉は、そんな野菜よりも、さっさとお墓参りを終わらせ、
霊園内の池に飼われている白鳥にエサをあげに行くことと、
そのあと川の釣堀に連れて行ってもらうほうが楽しみでたまりませんでした。
 

お墓に着くと、まず皆で手分けしてお墓の掃除をします。

私の担当は水汲みです。バケツを持って水汲み場とお墓を何度も往復します。

きれいになったお墓にお花とお菓子、果物などを御供えし、お線香を立てます。

母はいつもおはぎかぼた餅を持ってきており、それをお墓にお供えしていたように思います。
当時はおはぎとぼた餅の違いなんてわかりませんでしたが、私の中では、

「このお菓子は仏様におそなえするもんなんやな。そういえば仏壇にもよく備えてあるしな」

と妙に納得していました。
 

現在はというと、残念ながら無人販売所は姿を消しました。

実家を離れ、家族でぼた餅を作ることもなくなりました 。

でもその代わり、新しくできた道の駅で、地場の野菜や果物、

手作りの加工品を物色することができるようになりました。

家族と作る代わりに、今は教室で生徒さん達と一緒にぼた餅を作ることが、

私の楽しみのひとつになっています。


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