母が梅干用にと買ってきた、たくさんの梅の実。
少量ずつに分けて、何度も何度も揉みます。
母の手が紫蘇で紅く染まります。
母が赤紫蘇を揉んでいる姿は、二十年以上経った今でも鮮明に思い出すことができます。
今はただ懐かしく、温かい気持ちにさせてくれるあの梅干。
「青い梅には毒があるから生で食べたらあかんよ」
「『梅はその日の難逃れ』」
そんな言葉達が、あの母の梅干の味とともに